ルームメイトを探せの巻さて、一旦最終回を迎えたと思った他人と暮らすシリーズの続編として、今日はルームメイト探しのジレンマを書いてみようと思う。ジャックと暮らし始めてからしばらくルームメイトはいなかったが、家を購入してから、ローンできちきちの生活を多少はゆとりを持たせるために二つある部屋のひとつを貸し出して早9ヶ月がたとうとしている。今回は近所の短大に通う23歳になる日本人の女の子(自分がこのくらいの年のときに‘女の子’と言われて憤慨していたのを思い出して、年をとった自分に気づいて苦笑している。)彼女はもうすでに短大の資格を取ったので、一旦日本に帰ってから今度はロスアンジェルスのほうにある四年制大学に編入するということで、12月8日に出て行くことになっている。前からこの日が来るとは分かっていたが、いいルームメイトの条件を全て兼ね備えている彼女が行ってしまうのはとても残念だ。なんてったって、同じ日本人なので感覚が合うし、礼儀正しくきれい好きで、なんと言ってもうれしいのが学校とバイトが忙しくてほとんど家にいない。年の割にはちょっと子供っぽいのでボケていてイライラさせられる以外はパーフェクトのルームメイトだ。事に今回部屋貸しの広告を載せて、あちこちから掛かってくる電話でその気持ちをいっそう強くさせられる。 このホリデーシーズン真っ只中でわざわざ引越しする人は多くないだろうと思いきや、たったの二日だけで、10件以上電話が掛かる。でも部屋の状況を説明すると彼らの条件にかなっていなかったり、こちらの条件にあっていなかったりと言ってなかなかぴったりする人は見つからない。例えば、リタイヤしていて一日中家でのんびり出来る部屋を探す60歳くらいの人や、障害者で現在ケアシステムのある場所にいるがそこを出て自分の部屋で暮らしたいが、毎日ヘルパーが来て世話をしてくれるのでそれでもいいかと言ってくる40代の人などや、また、シングルマザーで自分とその子供が住める広い部屋を探している人や、若い女性でボーイフレンドと一部屋を共有したいと思っている人など、状況は様々。 それにしても、今回ルームメイト探しを久しぶりにして、その難しさを知るとともに、いろんな人がいるなあと呆れされられる場面にしばしば当たる。例えばある女性は、(多分私たちと同じくらいの年)自分だけが使うバスルーム付が条件だと言う。そこでこの部屋についてくるバスルームはリビングに隣接するのでトイレは私たちやゲストが使うが、私たちの部屋にバスルームがあるためにシャワーは個人のものだと言うと、じゃあ、誰が掃除するの?共有するのに私が掃除を責任持つのはヤダとキッパリ言う。尤もな事だが、その言い方が、とても不躾で、我儘な性格が見えるようだった。そして、まず、家を外から見て、いいと思ったら中を見るためにアポイントメントを取りたいからとりあえず住所を教えろと言うので教えて電話を切った。こんな奴とは暮らせないと言うのがはっきり分かっていたので、直後にすぐそこまで来ているけど、家が見つからなくて迷っていると掛かってきたときに、もうルームメイトが見つかったのでと嘘をついて断った。 彼女だけが例外でなく、電話を掛けてくる半数以上の人が、電話のマナーがなっていない。まず、開口一番に広告についている部屋の件で電話したんだけどと言うその一言も、あたかも私たちが幾つかの不動産を持っていて、その中のひとつを貸し出し、一緒に住むわけではないような設定で掛けてくるのと同じでツッケンドンに話してくる。もしも一緒に住むわけでないなら、こちらも感情を入れずにビジネスとして対応するのだが、まかりにも‘ルームメイト募集’として広告を出しているので、電話は、どんな人なのかということをお互い確認しあう訳だから、言ってみれば、一次試験のようなものだ。なのにこの重要性を分かってない輩が多い。確かにお金のために部屋を貸すわけだが、誰でも良いって訳じゃない。一緒に住んでみて、馬が合わなければ、長続きしなくてまた三ヶ月、またはもっと短期間で次のルームメイトを探さなくてはならない。借りるほうも同じ事で、また新たな場所を見つけるためにあちこち駆けずり回ったり、引越しの手伝いを人に頼んだりと大騒動を繰り返すことになる。だから、このように、ほんの4~5分の短い電話での会話ですら気持ちよくフレンドリーに話せない人が不思議でならないのだ。 一般の広告に載せる場合、ハウジングの法律に基づいて、人種や年齢、また個人個人の状態などで差別してはいけないことになっている。よって、明らかにこちらが探している条件のとは程遠いと言っても相手には見る権利があるようだ。そういって、ジャックは昨夜遅くに掛かってきたかなり年配の人にあまり条件も聞かずにここに見に来るのには9時近くなると言うのにOKしてしまった。切った後にどんな人かを私に説明しながら、“いや~、そんな年が離れている人とは暮らせないって分かっていたけど、なんと言って断って良いかわかんなかったから、OKしちゃったんだよ~...”呆れたが、もうすでに家を出ているだろうから断れない。電話は苦手だし、下手な事言って、差別だって訴えられるから、次からは君が対応してくれと言う。まったく... 現ルームメイトに遅いけど部屋を見たいと言う人がいるんだけど悪いね、って何とか了解してもらった後に、如何にしてこの訪問を手短に済まさせるかとあれこれ作戦を練っていると、その人から今日はもう遅いから、別のときに見れないか、と電話があった。そこで正直に、“実は私は日本人で、英語が苦手なので、日本語が話せる人を探しているんだけど、何しろ広告を出したばかりで何も考えずに対応した主人がそれも言わずにOKしてしまったのよ、ごめんなさい。”とまたしても嘘をついて丁重にお断りした。そして、もう電話とらないって子供のようにすっかり怖気ついているジャックに、“あんた、二ヶ国語で英語がちゃんと話せない私が出来ることを、あんたが出来ないってどういうこと?電話は面接のようなもんだから、相手の条件とこちらの条件をきちんと確かめるために幾つか質問するのは何も失礼じゃないのよ。最初っから入れないつもりなのにわざわざ遠い所から来させて無駄足食わせるほうがもっと失礼だと思うわ。”と言って、相手にいやな気分を持たせないように要点を聞き出して、お互い納得した上でアポイントメントを取る方法を伝授したのであった。 ジャンル別一覧
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